絶対に見ておくべき『良作』時代劇映画 11選(近年モノ編)

若い方の中には時代劇映画に馴染みのない方が多いかもしれません。
しかし、黒澤明監督の「七人の侍」を例に挙げるまでもなく、「時代劇」映画には名作が目白押しです。

死と誇りが背中合わせに共存する武士道、明治維新後急激に崩れさる封建社会と取り残される侍、身分の違いによって引き裂かれる恋心……言ってしまえば「どう料理しても美味いだろ!」という素材がぎっしり詰まっているのが「時代劇」というフォーマットなのです。

時代劇というだけで毛嫌いしていては勿体無いような作品が本当に数多くありますので、この記事ではそれらの一部をご紹介したいと思います。

なお今回は「近年モノ編」として、比較的新しい作品を集めています。
おなじみの実力派俳優を揃え、美しい映像美も楽しめる時代劇映画。気になった作品がありましたら、ぜひご覧になってみてください。

王道時代劇編

たそがれ清兵衛

近年の時代劇映画の名作を語るのに、時代小説作家の藤沢周平、そして山田洋次監督の存在は欠かせません。藤沢周平原作・山田洋次監督というだけで、「ああ、見て損はなさそう」と思えるほど。

「たそがれ清兵衛」はその黄金コンビによる「三部作」の一作目で、藤沢周平の短編小説集「たそがれ清兵衛」を原作とする映画です。小説の「たそがれ清兵衛」は掌編と言っても良い短さなのですが、映画化にあたってはその他に「竹光始末」、「呪い人助八」の要素を取り入れ、2時間超の作品に仕上げています。

ストーリーは、若くして妻を亡くし、子供達のために定刻どおりに下城する(今でいう定時ダッシュですね)清兵衛。周りからは蔑みの声も聞こえますが、実はこの清兵衛は剣の達人。ある日幼馴染の朋江を救ったことからその剣の腕が知られるようになり、刺客として抜擢されてしまう……。というもの。

武士としての務め、家族への思い、朋江への慕情。相容れないそれらが内心で混交する清兵衛を、その卓越した編の腕が死地へと誘う……。その「ままならなさ」に、見る者は胸をかき乱されます。
真田広之演じる清兵衛のひたすら抑制的な生き様も見事で、胸を打ちます。

現代時代劇映画屈指の名作であることは間違いありません。

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隠し剣 鬼の爪

「たそがれ清兵衛」の藤沢&山田コンビによる三部作の第二作目。
三部作と言っても話が続いているわけではなく個別の作品なので、この作品を先に見てももちろん楽しめます。

やはり下級武士のわびしい身分と、身分違いの恋、そして実は剣の達人である主人公が望まざる決闘に向かう悲運……と、藤沢原作・時代劇の美味しいところがギュッと詰まった作品です。

またこの映画では「たそがれ」のような静謐さに加え、決闘への準備や特訓、そしてリアル感のある迫力の殺陣など、いわば「チャンバラもの」としての面白さも魅力。「隠し剣・鬼の爪」がはたしてどんな奥義なのか、ぜひご自分の目て確かめていただきたいと思います。

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武士の一分

藤沢周平原作・山田洋次監督のコンビによる三部作の第3作目。
連ドラでおなじみの元SMAPキムタク主演ということで軽いイメージもつきまとう本作ですが、その実内容は、藩主の毒味役で失明してしまった下級武士が妻を奪われ、その不貞の相手に「武士の一分」をかけて決闘を申し込む……というヘビーなもの。

しかし主役の木村拓哉を始め、妻役の檀も助演陣も、力不足を感じさせない演技で堂々と演じきっています。悲壮なまでの「武士の生き様」にぐいぐい引き込まれる一作です。

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雨あがる

武芸の達人だが職につけない武士、三沢伊兵衛とその妻たよ。妻は、人を押しのけず人々に希望を与える夫をあたたかく見守っているが、職のない伊兵衛は日々妻に申し訳なく思っている。旅の途中、折からの豪雨が夫婦を河畔の宿場町に足止めさせる。やがてその雨があがる頃、城主にその腕を偶然認められた伊兵衛は、藩の剣術指南番に招かれるが…。現代に失われつつある “優しさ” を見事に表現した、心が晴れ晴れとする温かい感動作。

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柘榴坂の仇討

安政七年三月三日、江戸城桜田門外で大老の井伊直弼(中村吉右衛門)が襲撃され殺害される。主君を守り切れなかったことを悔やんでも悔やみきれない彦根藩士・志村金吾(中井貴一)のもとに、仇を討てとの藩命が下る。明治の世になり時代が大きく変わっても武士としての矜持を持ち敵を探し続ける金吾。一方水戸浪士・佐橋十兵衛(阿部寛)は井伊直弼殺害後、俥引きに身をやつし孤独の中に生きていた。そして明治六年二月七日、仇討禁止令が布告される……。

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侍の武器は刀だけじゃない! 職業武士編

武士というと台帯刀し有事に備える幕府の軍隊、というイメージが先行します。
しかし戦乱のない太平の世が数百年続いた江戸時代においては、彼らはむしろ現代でいう「公務員」のように、それぞれの家にお役目を受け、毎日お城に「出勤」して仕事をしていました。

最近ではそうして職業武士たちの生活を描いた作品も脚光を浴びており、良作もちらほら。いくつかご紹介します。

武士の家計簿

倍返しだ!で一躍有名になった堺雅人が主演。

代々加賀藩の御算用者 (経理係) である下級武士の猪山直之 (堺雅人) は、家業のそろばんの腕を磨き出世する。しかし、武家の慣習で出世の度に出費が増え、いつしか家計は火の車。一家の窮地に直之は、“家計立て直し計画”を宣言。妻のお駒に支えられつつ、家族一丸となって倹約生活を実行していく。見栄や世間体を捨てても直之が守り、そしてわが子に伝えようとした思いとは―。

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武士の献立

優れた味覚と料理の腕を持つが、気の強さが仇となって1年で離縁された春は、ひょんなことから加賀藩の料理方である舟木伝内に料理の腕を見込まれ「息子の嫁に」と懇願され、息子安信のもとへ嫁ぐことを決意した春。舟木家は代々藩に仕える包丁侍の家。しかし、夫となる跡取り息子の安信は料理が大の苦手で、4つも年下。春は、姑の満の力も借りながら、必死に夫の料理指南を始めるが…。

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爆笑! 時代劇コメディー編

時代劇にもコメディー作品はあります。
時代劇ならではの設定と現代的な演出が絶妙なオススメ作品も多数。ここではとくに近年のものをご紹介します。

超高速!参勤交代

江戸時代。1万5千石の小藩・磐城国湯長谷藩に存在するという金山略奪を狙い、江戸幕府が無理難題を吹っ掛ける。「5日以内に参勤交代しなければ、藩を取り潰す!」。金も時間もない湯長谷藩。参勤交代を果たし、無事に藩を守ることができるのか?!

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清須会議

本能寺の変によって織田信長が亡くなり、筆頭家老の柴田勝家(役所広司)と羽柴秀吉(大泉洋)が後見に名乗りを上げた。勝家は三男の信孝(坂東巳之助)、秀吉は次男の信雄(妻夫木聡)を信長亡き後の後継者として指名し、勝家は信長の妹・お市(鈴木京香)、秀吉は信長の弟・三十郎信包(伊勢谷友介)を味方にする。そして跡継ぎを決めるための清須会議が開催されることになり、両派の複雑な思惑が交錯していく。

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殿、利息でござる!

金欠のため、百姓や町人へ容赦なく重税を課していた仙台藩。中でもさびれ果てた小さな宿場町・吉岡宿では、破産と夜逃げが相次いでいた。町の将来を心配する十三郎は、知恵者の篤平治から宿場復興の秘策を打ち明けられる。それは、藩に大金を貸し付け利息を巻き上げるという、百姓が搾取される側から搾取する側に回る逆転の発想であった。計画が明るみに出れば打ち首確実。必要な資金は千両。現在の3億円という大金を水面下で集める、前代未聞の頭脳戦が始まった。

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時代劇は難しくない!

ここまでご紹介してきた作品のように、時代劇は決して小難しい知識が必要なジャンルではありません。むしろ、いくつもの「お約束」に支えられた鉄板のジャンル。細かいことを考えずに俳優陣の演技や製作陣のアイディア、手腕をダイレクトに楽しめるエンターテイメント作品が多くあります。

これまでなかなか食指が動かなかったという方も、ご紹介した作品から時代劇の世界に触れてみてはいかがでしょうか?

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